UniversalAudioのApollo Twinを使ってみた!
UAD Apollo Twinレビュー【基本編】

2014/09/17

Thunderbolt接続のオーディオ・インターフェイス+マイクプリ「UAD Apollo Twin」を使ってみました!

UAD Apollo Twinとは?


Universal Audio Apolloはラックタイプオンリーの頃から,エンジニアやアレンジャーの友人から「いいんだよね,これ!」と勧められていたのですが,オーディオ・インターフェイスとDSPエフェクトを組み合わせた画期的な製品だけに,価格もそれなりに高価な部類(実勢20万〜)となることもありまして,さらに,ボクのようにギター・トラックだけ録音して送り返す仕事が多く,さらにミックスも行わない場合には,18イン×24アウトも使わないなあ、という事で手が出しにくかったわけです。

同じ事をUAが考えていてくれていたのかどうかは解りませんが,今年初めにデスクトップタイプの「Apollo Twin」という製品が発売されました。

「Apollo Twin」は,アナログとデジタルのそれぞれの特性をバランス良く組み合わせたApollo特有の資質を維持しながら,フットプリントの小さいデスクトップサイズで,よりクオリティの高いサウンドを求めるギタリストやベーシストには,実用的で便利な機能が盛りだくさんの機種になっています。

今回は,この「Apollo Twin」を試用することができたので,サンプル音源とともに音質,使い心地などレポートします。

なお,今回のサウンド・サンプルは「Apollo Twin」の製品パッケージに無償バンドルされているプラグインのみを使っています。



まずは「Apollo Twin」の特徴をチェック

「Apollo Twin」は,基本的にオーディオ・インターフェイスとDSPエフェクト機能を組み合わせた製品という部分は他のApolloと同様。解像度も24ビット/192 kHzです。

違うのは,入出力数が2イン/6アウトであり,エフェクトの処理を行うSHARCプロセッサーの数が少なく,Thuderbolt接続であること(=Apple Macintosh専用),ラックマウントではなくデスクトップタイプであること。

前面にはギター/ベースを直接させるHi-Zインプットと,ヘッドフォンアウトがあります。

前面の使いやすい位置にHi-Z入力。
前面の使いやすい位置にHi-Z入力。

もうこれはざっくりと申し上げますと,ギターやベースのレコーディングに特化した製品ですね。

背面には,キャノン接続/48Vファンタム電源供給が可能なマイクインプットも2系統あるので,アコギやボーカルをマイクで録りたい場合にも対応可。

機種としては,SHARCプロセッサーを1基搭載の「Apollo Twin SOLO (アポロツインソロ)」(実勢価格75,000円),2基搭載した「Apollo Twin DUO (アポロツインデュオ)」(実勢価格95,000円)の2機種で,価格的にはラックマウントの「Apollo」シリーズの半分以下の水準です。

「Apollo」シリーズの中ではDSPプロセッサーの数が少ないのですが,”自分ではフルミックス作業は行わないよ,ギターまたはベースの音入れのみ”,という場合にはSOLOでも十分。

さらに,少しミックスもしたいし,多めにエフェクトを使いたい,という場合にはDUOを選ぶといいんじゃないかと思います。


Apollo Twinにしか無い機能

同じような見た目のデスクトップ・タイプのオーディオ・インターフェイスは,ここ近年,さまざまなメーカーが発売していますが,これらの製品と大きく異なる「Apollo Twin」特有のアドバンテージとしては,以下の点があります。

  • UADプラグインが使えること
  • マイクプリアンプのモデリングを行う,新技術「Unison™ テクノロジー」
  • Thuderbolt接続


UADプラグインの簡単な解説

ご存じのように,UADプラグインはDSPベースのエフェクト・プラグインで,要するに,名機と言われるようなアウトボードをDAW上で使えるようにするというものですね。

エフェクト専用のプロセッサーとして機能するので,パソコンのCPUパワーを使わずに,より高度な処理ができるということになります。

実のところ,DSPエフェクトについては,ボクはTC ElectronicのPOWERCOREを複数台使っていた派で,”UAD?なんじゃそりゃ,男はPOWERCOREだぜ”,くらいに思っていました。

開発終了してしまったTC POWERCORE。
開発終了してしまったTC POWERCORE。

Pro Tools HDを除く,DSPエフェクト製品では,一時期はPOWERCORE派とUAD派で2大勢力となっていたのですが,2012年にTCがPOWERCOREの開発を終了したため,今はDSPエフェクト製品のメインストリームはUADとなっています。

POWERCORE派としては残念な結果ですが,UADシリーズのプラグインの出来やドライバーの安定性はかなりなものなので,仕方が無いところ。

なにしろ,このUADプラグイン,数々のアナログ・アウトボードの名機を生み出したUNIVERSAL AUDIOが開発しているだけに,そのサウンドの方向性,クオリティはオリジナル・ハードウェアに非常に近いものとなっています。

「Apollo Twin」では,このUADプラグインをデスクトップ型インターフェイスで使うことができるのも特徴の一つです。


Apollo Twinのバンドルプラグイン

プラグインは,Apollo各製品にそれぞれ最初からバンドルされていて,「Apollo Twin」には「Realtime Analog Classics Bundle」がついています。

「Realtime Analog Classics Bundle」 には,UAの名機「UA 610」,トータルコンプその他の用途で定番の「Teletronix LA-2A」「1176SE」,イコライザーには「Pultec Pro EQ」の他,チャンネルストリップ「CS-1」,ギター/ベース・アンプ・シミュレーター「Softube Amp Room Essentials」,リバーブには「RealVerb-Pro」の各プラグインが含まれていて,基本的なギター/ベースのレコーディングには十分なバリエーションです。

そして,さらに音のバリエーションを増やしたい場合には,UAのホームページのUAD+プラグインから追加購入可能。

ギター/ベースで考えると,「Neve 1073」「API Vision Channel Strip」「Lexicon® 224 Digital Reverb」あたりは,いずれ欲しくなりそうです。


マイクプリのエミュレーション技術「Unison™ テクノロジー」

Unison™ テクノロジーは,クラシックなアナログ・マイクプリアンプの動作をエミュレートする技術で,Apolloのマイクプリに内蔵されています。

Unison対応のプリアンプはここに表示。

Unison対応のプリアンプはここに表示。

簡単に言うと,マイクプリの特性(真空管,あるいは,ソリッドステート),入力インピーダンス,ゲインした時の挙動などをエミュレートするもの,ということになります。(詳細な説明は「Unison™ テクノロジー(PDF)」をどうぞ。)

このUnison対応のプラグインだと,本物のアナログ・マイクプリに近い挙動と音質を再現することができます。

バンドルの「UA 610-B Tube Preamp and EQ」の他,追加購入可能な「Neve 1073」「API Vision Channel Strip」は,この後に説明する「Unison™ テクノロジー」に対応しています。

 

 

 

下記は、バンドルされている「UA 610-B Tube Preamp and EQ」

バンドルされている「UA 610-B Tube Preamp and EQ」



Thuderboltによる簡単な接続,高音質,安定性

なにしろ,MacとApollo TwinをThunderboltケーブルで繋いで,電源入れるとすぐに認識します。

これはなかなかに快適。

USBやFirewireの時には,接続してオンにする順番によっては,うまくいったりいかなかったりしたこともあったのですが,Apollo Twinの場合には,その心配はいらないようです。

Thuderboltコネクタは,比較的新しいMacに採用されているインターフェイスで,プロトコルとしてはPCI Express 2.0,DisplayPort 1.1aに対応しています。

取り回しがしやすく,高速なThunderbolt。

取り回しがしやすく,高速なThunderbolt。

 

簡単な話,外部ディスプレイ出力ポートとしても使えるし,外づけHDを接続することも出来る,高速転送インターフェイスです。

「Apollo Twin」は,このThunderboltインターフェイスによって接続するため,簡単に接続できるし,より大容量のデータを,より高速にやりとりすることが可能となっています。


ただし,「Apple Thunderbolt - FireWireアダプタ」は使えません…

ただ,注意しないといけない点もあって,現状,「Apollo Twin」 は”Thunderboltが採用されていないMacでは使えない”仕様となっています。

私のメインの音楽制作環境は,Mac Pro (Early 2009)なのですが,この機種の場合,Firewireポートはありますが,Thunderboltポートはありません。

最初は変換アダプターで使えるだろうと考えていたのですが,「Apollo Twin」に関しては,”ThunderboltでPCIeを使い,オーディオI/OとUAD-2プロセスをストリーミング処理する設計のため,Apple Thunderbolt to FireWire Adapterは使えない”というUAのオフィシャルな回答を発見。

参考:「Apollo Twin Support Information

Apollo Twin uses PCIe over Thunderbolt for all audio I/O and UAD-2 processing streams. Because Apollo Twin does not use FireWire, the Apple Thunderbolt to FireWire Adapter cannot be used for Apollo Twin's Thunderbolt connection to the computer.

このため,今回のサウンド・サンプルは,ThunderboltポートのあるMacBook Air (Mid 2011) 11インチを使って制作しました。

「Apollo Twin」 はThunderbolt接続のみとしたことにより,簡単な接続,高音質と高処理,安定性を兼ね備えた,コストパフォーマンスに優れた製品となっていますが,導入するにあたっては,事前に動作環境が整っているかどうかは確認した方が良いかと思います。

参考:「UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin 動作条件 / 仕様(フックアップ)」


Macbook Airでの使用感は良好

今回使ったMacBook Airは普段はサブマシンとして使っているもので,メモリーも4GB,SSDも128GBというスペックで,音楽制作向きのマシンとしては想定していないマシンです。

正直,おっかなびっくりでApollo Twinを繋いで使っていたのですが,全ての工程で何事も無く作業を完了しました。

もちろん,ディスプレイサイズは11インチのため,表示エリアは限られ,DAWやコンソール,プラグインのウインドウは切り替えながら設定を行わないといけなかったのですが,他には特に支障は感じませんでした。

感覚としては,生のドラム,ベース,ギター,キーボードをレコーディングして,フルミックスするというヘビー用途じゃなければ,この環境でも十分使えそうに思えます。

もうこれからは,SSDとThunderboltが揃っていればOK,という感じになっていくのかもしれませんね。

 

その他の関連記事

・UAD Apollo Twinレビュー【基本編】
・UAD Apollo Twinレビュー【クリーントーン1】
・UAD Apollo Twinレビュー【クリーントーン2】
・UAD Apollo Twinレビュー【クランチ~ディストーション1】
・UAD Apollo Twinレビュー【クランチ~ディストーション2】
・UAD Apollo Twinレビュー【ガット(ピエゾ)】




 

共有

著者紹介

廣瀬 昌明

ギタリスト,アレンジ,プロデュース。

BRAINSOUT」「イガバンBB」「Kaoru」など。

アーティストのサポート/レコーディング,TVエンディングテーマ,CMその他制作多数。

新着

ページトップへ