氏家克典の音楽制作ルネッサンス
第10回 Arturia 10th Anniversaryレポート

2010/01/03

フランスで開催されたArturia 10th Anniversaryをレポートしてきました!

氏家です。

早いものでアートリアも10周年ですよ。9月初旬にアートリアから封筒が届き、10月16日にフランス(グルノーブル)で開催されるArturia 10th Anniversaryパーティの招待状が入っていました。

さらにアートリア社長のフレデリック・ブルンからの手紙に「カツノリ。アートリアも10周年を迎え新たな展開を考えています。詳しくはグルノーブルにて。会えるのを楽しみにしています。」との一文が。嬉しかったですね~。喜んで招待を受けました。私自身、アートリアとは彼らの創設時代からビジネス(アートリアの最初の日本代理店を担当)、クリエイティブ(彼らのすべてのプロダクツの音色制作、開発コンサルティング)に於いて現在も深く携わっています。

レポートの前に、まずはアートリア10周年の歴史を振り返ってみましょう。

アートリアの輝かしいプロダクツ・ヒストリー

storm2000/1   STORM~バーチャル・ミュージックスタジオのコンセプトどおり4つのソフトウエア音源、3つエフェクターの入れ替えが可能。

圧倒的な自由度の高さが絶賛された。その後のSTORM3.0では、さらに進化し、新規モジュールや無限の音源モジュール/エフェクターを搭載。

2002/1   Moog Modular V~ボブ・モーグ氏のお墨付きを得て登場。

パッチコードによる接続やモジュールの入れ替えを実現し、画期的なTAE(トゥルー・アナログ・エミュレーション)技術を確立、搭載したビンテージ・シンセサイザー・エミュレーション・シリーズの記念すべき第一弾。

 



2003/1   CS-80V~ヤマハのモンスター的アナログ・ポリフォニック・シンセサイザーのエミュレーションを見事に再現。
ソフトウエア・シンセサイザー業界における確固たる地位を確立した。

2004/1   minimoog V~誰もが待ちこがれていた往年のミニモーグを再現し大ヒット。
Minimoogの特長的な図太いサウンドの再現性とモジュレーション・マトリックス等の柔軟な拡張性が絶賛された。

 

2005/1   ARP2600 V~モーグと並ぶブランドであるアープの2600を再現。

16ステップ・アナログシーケンサー・モジュールや4系統のトラックング・ジェネレーターまでも搭載し、ビンテージ・シンセサイザー・マニアを唸らせた。



 

2006/1   BRASS~フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)の研究技術である管楽器の物理モデルを応用し商品化された。

トランペット、トロンボーン、サックスのモデリングの他に、4管アンサンブルでのリフ・モードも搭載された。

2007/1   Prophet V~アナログ・ポリフォニック・シンセサイザーの代表機種であるプロフェット5をプロフェットVSの機能し、さらにその2つのシンセサイザーを融合して新たな音色の再現を実現した。

2007/4   Analog Factory~ Moog Modular V以降のビンテージ系ソフトウエア・シンセサイザーのすべてのエンジン部分、2,000音色以上のプリセット。

使い易さ抜群のインターフェイスを搭載した。



2008/1   Jupiter 8V~ヤマハに続き、ローランドの代表的アナログ・ポリフォニック・シンセサイザーであるジュピター8を再現。
ギャラクシー、ステップシーケンサー等の新機能も搭載された。

2008/7  Analog Factory Experience~アートリアの新機軸であるソフトウエアとハードウエアの融合を実現した機種。

Analog Factoryに完全対応したMIDIキーボードが絶賛された。

 

 

2009/1   Origin~TEA(トゥルー・アナログ・エミュレーション)技術をはじめとしたアートリアのテクニカル・ノウハウを惜しげもなく注ぎ込んで完成した本格的ハードウエア・シンセサイザーの第一弾。

シンセサイザー界のF1とも称されるモジュールの組み合わせによる自由度の高さと、その完成度の高さが業界から大絶賛された。

こうやって10年間を振り返ってみるとアートリアの戦略がしっかり見えてきます。基幹技術であるTAE(トゥルー・アナログ・エミュレーション)技術を核として、様々なアイディア・応用が基軸となって枝葉のように様々なプロダクツへ波及しています。

 

Arturia 10th Anniversaryパーティ・レポート

今回アートリアから招待されたのは、フランス国内はもちろん世界各国のアートリア・プロダクツを扱っている輸入代理店(日本からはフックアップ社が参加)や音楽業界関係者、ジャーナリスト達で総勢100名ほどでした。

午後7時より10周年記念式典がグルノーブル美術館の大ホールにて開催され、アートリア社長のフレデリック・ブルンによるキーノート・スピーチで幕をあけました。

10年間のアートリア・ヒストリーに続いて、今後のプロダクト・プランについての詳細なプレゼンテーションが行われました。

まずは、ビンテージ系ソフトウエア・シンセサイザーのバージョンアップに関しての発表。すでに、minimoog V2はボーカル・フィルターやサウンド・マップなどの数々の新機能を搭載して発売済みですが、CS80V、Moog Modular V2もそれぞれV2、V2.5に機能バージョンアップされ新パッケージにて登場します。

順次ARP2600、ProphetV、Jupiter8VがV2として生まれ変わります。個人的には負荷軽減、e-Licenseによるドングルの不要、最新のTAE搭載によるフィルター性能の向上はかなりうれしい!

BRASSも、すぐに2.0へのバージョンアップが直前に控えているとのこと。特に以前のバージョンではいまいち貧弱だったサックスのモデリングが、IRCAMの全面サポートのもと大改良され、素晴らしい性能/リッチな音色に変貌していました。これは使えます!

この物理モデル・シリーズはIRCAMとの連携でシリーズ化が計画されており、今後の展開、ラインアップに乞うご期待とのこと。

続いて、やっと完成版お披露目のOrigin Keyboard。

今年のWinter NAMM、MESSEでも展示していましたが、今回紹介されたのは最終バージョンの一品。もちろんすべての機能が完動していました。

特筆すべきは鍵盤タッチの素晴らしさで、イタリアFATAR社の最高級鍵盤を使用しています。また、ヤマハCS80を彷彿させるリボンコントローラーも素晴らしい!久々にリボンコントローラーで演奏しましたがパフォーマンスの可能性が飛躍的に向上すること間違いなしです。感動しました!


また、アートリア・ロゴのAの文字が妖しく光るバックパネルも超カッコいい!

これはステージで映えるだろうね。発売と同時に、すぐに有名アーティスト、キーボーディストがこぞって使う予感大。

実は、トップ・シークレットの発表もありました(!!)

機密保持の関係で詳しく報告できないのが残念ですが、Analog Factory Experience で実現したアートリアの推し薦めるソフトウエアとハードウエアの融合のセカンド・ステージに位置する画期的プロダクツです。
観客からも感嘆の声が上がっていました。

多分、今年のWinter NAMMかMESSEにてアナウンスされることでしょう。
お楽しみに!!

最後に、フランス人ミュージシャンによる新商品のデモ演奏と、現在のアートリア・メンバー達が紹介されました。10年前は5人でしたが、今や20人以上の大所帯。ぜひとも頑張ってもらいたいものです。(応援してまっせ~!)

最後に上映された世界各国のアーティストからのメッセージ映像でキーノートは幕をとじました。映像には松武秀樹氏も登場しています。

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夜は、グルノーブルの高台にあるBastille(バスチーユ)にてパーティが開催されました。

まあ、飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ。フレデリックも完全に酔っ払い状態です(笑)

翌日はグルノーブル郊外のアートリア社屋にて、グループに分かれてのワークショップが開催されました。

社内にはアナログシンセが所狭しと並んでいます。
出荷待ちのOriginも山積み状態。

もうすぐ公開されるORIGINのドローバー・オルガンのテンプレート、レズリーエフェクトもしっかりチェックしてきました。しっかりハモンドB3の音がしていましたよ!!

 

 

フレデリックからミュージックトラック・ユーザーの皆様へ


では最後に、フレデリックからのメッセージをご紹介しましょう。

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『 ミュージックトラック・ユーザーの皆様、お久しぶりです。フレデリック・ブルンです。

いつもアートリア・プロダクツをご愛顧いただいき誠に感謝しております。この10年間、楽しい事や辛い事などドラマティックにいろいろありましたが、やっとOrigin Keyboardのような素晴らしいプロダクツを紹介できる程に成長できました。これも日本のお客様との10年間のパートナーシップのおかげだと思っています。

現在アートリアではビンテージシンセを再現したソフトシンセ、物理モデルによるアコースティック・エミュレーション、ハードウエア・シンセサイザーの3本柱を中心に事業展開していますが、今後もアートリアらしい革新的なプロダクツを開発、製造していきます。

ぜひご期待ください。

今後ともよろしくお願いします!』

 

アートリアにとって、この10年間は輝かしい歴史でしたが、Arturia 10th Anniversaryに出席してみて、次の10年も多いに期待できることを実感しました。

今後のアートリアにも要注目です!!

最後に私からも『 フレデリック、これからも頑張れよ~!』

 

著者紹介

氏家 克典

学生時代よりEAST&WESTや世界歌謡祭など数々のコンテストに出場。 作編曲、自己のグループ、スタジオミュージシャンなど本格的プロ活動をスタート。 音楽コンサルティング、音楽ソフトウエア企画制作、音楽学校運営、作編曲、プロデュース、国内/海外デモンストレーション、研修、後進育成、連載執筆など、その活動は多岐に渡っている。 特にデジタル楽器関連の分野では、その軽妙で豊かな経験に基く語り口と、独自の視点によるハイクオリティで斬新なプロデュース作品が、常に業界の注目を浴びている。 また、いままで手掛けたTVCM音楽/楽器内蔵デモ曲は数百曲、デモ演奏/研修で訪れた国々は15ヶ国以上に及ぶ。 日本シンセサイザープログラマー協会(JSPA) 副理事長 音楽電子事業協会(AMEI) MIDI検定委員会 副委員長

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