神ノ木

matsra 2021/10/10
天王寺 谷町を降りて
路面電車に乗り継げば
数駅高架を走って
鄙びた無人駅に着く

今は思い出せる事もない
だけどただ哀しげなメロディ
唸り上げるモーターに隠れて
Cmが響いてた

かあさんにただ連れられて
降り立った駅は神ノ木
高架下走る線路沿い
おばさんを訪ねてた

難しい事は分からないけど
玩具で遊ぶ僕を他所目に
話し込んでいるふたりに
笑顔を見た事は無かった

いつか分かると思ってた
でも未だに分からないんだ
もう寄り添う場所は無かったの?
なぜあの日走る列車に身を投げたの?

親戚筋からの仕打ちも
家族からの無関心も
自決を認めてしまうには
あまりにも些細過ぎた

やがてかあさんが神ノ木に
訪ねる事は無くなったよ
だけど止められなかった無力で
今でも涙に暮れるんだ

おじさんは家を建て替えて
とうさんによく連れられた
おばさんの無念を隠すように
うそ明るく大きな家

おじさんはとうさんとずっと
飽きもせず話し込んでた
人払いでもするように僕は
読経をさせられてたんだ

大きくなるにつれて
連れられる事もなくなって
忙しさに疎遠になって
賀状を見ても思い出せなくなってた

いつかおじさんは生駒へ
やがて天寿を全うして
僕は彼岸に形だけ
手を合わすだけになった

おじさんは阿倍野に眠るけど
おばさんはそこには眠らない
どこで土に還るのか
誰も知らないと言う

あの頃響いてたCm
捜して降り立つ神ノ木で
面影ひとつ見出だせない
僕はもう異邦人

作品紹介・説明

昔、阪堺電気軌道と言う大阪の路面電車で
叔母さんの家にお邪魔する事がよくありました。

その頃の話を歌の形で収めてみたくなり、
試しに書いてみました。

何分私自身我が強いので、曲は自分の手で
落とし前を着けるつもりでいます。

ただ、それには幾分時間が掛かりそうなので
皆さんのご感想を伺いたいと思い、投稿致します。

ご感想頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。

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2件のコメントが寄せられています。

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