「葉桜」

十五の春の日に 父はこの町に来て
小さな町工場で朝から晩まで 働いていた
油の匂いのする 大きな手のひらで
「ただいま」と ちいさな僕を抱きしめてくれた
人付き合いが苦手な人で
 賭け事もパチンコもしない
 穏やかな人だった
変らない毎日と変らないぬくもり
変らない微笑みに包まれていた


海の見える坂の道 みかん畑がつづく
そんな町から母は この町に嫁いできた
袋貼りの内職仕事 手伝う僕を
笑いながら 頑張れって 励ましてくれた
 冷たい水 洗濯仕事 
 手にはあかぎれ 
 でも強い人だった
変らない毎日と変らない優しさ
変らない愛情に包まれていた


中学のころの僕は 反抗ばかり繰り返していた
喧嘩したり補導されたり 毎日が孤独だった
初めて父に殴られた日 初めて父を殴った日
繰り返す日々の中で 何を求めていたんだろう?
 あこがれた自由
 仕事はきつく
 現実は厳しく
変わらない毎日に すさんでく心と
変われない自分に いらだっていた


まだ浅い春の日に 母が死んだ
狭かったアパートの中は 急に広くなった
あの夜に初めて 父の涙を見た 
初めてそして最後の 涙だった
 いつか晩酌をするようになり
 酒は増えていった
 そんな父も今はもう・・・
変ってゆく毎日と増えてゆく思い出
新しい寂しさが広がってゆく


葉桜の頃がくる
父と母が好きだった
この道を 今 ひとり歩いてゆこう

作品紹介・説明

長すぎて、詞としては、難しいかな・・・
ラップ風にすれば、なんとかなるかも?

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7件のコメントが寄せられています。

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