■フルート協奏曲第1番ト長調,K.313
モーツァルトがオランダのフルート愛好家ド・ジャンという人の依頼で書いた2曲のフルート協奏曲。
ド・ジャンは,「やさしいフルート協奏曲3曲とフルート四重奏曲を2曲を200フローリンで」という注文を出したのですが,モーツァルトが作曲したのは「2曲のフルート協奏曲と3曲のフルート四重奏曲」でした。しかも第2番の協奏曲の方は,オーボエ協奏曲の編曲という「手抜き」でした。
「ド・ジャンは,200フローリンではなく,96フローリンしか支払っていない!」とモーツァルトは不満を述べているのですが,何故なのかは謎のままです。
いずれにしても,モーツァルトの作曲したオリジナルのフルート協奏曲はこの第1番だけということになります。
しかしながら、1番も2番も、フルートを吹く者にとっては憧れの曲。
今年はこの大曲にどっぷりと浸かってきましたが、いよいよ残るはフィナーレの3楽章のみとなりました。
21才の頃、モーツァルトは仕官を志して母と各国を巡り歩きますが、途中マンハイム(現ドイツ)で滞在します。
当時、マンハイムには多くの音楽家が集まっていて、彼らから対位法(音楽理論のひとつであり、複数の旋律を、それぞれの独立性を保ちつつ互いによく調和させて重ね合わせる技法。)の影響を受けたとされています。
この3楽章もわくわくするような旋律が対位法を用いられて表現されています。
そして、1番、2番全楽章を通して唯一4分の3拍子という3拍子が用いられているのも特徴です。
恐らく最初は、2つともオリジナルの協奏曲を作るつもりだったのでしょう。最後の終わり方は、まるで「続きがあるよと」言っているような終わり方です。
(しかし、2番はオーボエ協奏曲の付け替えであったことが今世紀に発見される)
この1番2番ともに、現代でもフルート協奏曲の最高峰に位置付けされており、オケの入団試験や様々なコンクールの課題曲としても多用されています。
これを聴けば技量が一目瞭然として判ってしまうという、笛吹にとっては恐ろしい曲でもあります。(笑)
無謀にもこれにチャレンジできたことは、ひとえにsanaさんのご協力によるもので、しかも僕の我が儘をたちどころに叶えていただき感謝の言葉もみつかりません。
オケに比べると、フルートソロの稚屈さばかりが目立つ作品となりましたが、趣味でやってるアマチュアの領域ということで暖かい耳で聞いていただければ幸いです。
1楽章はこちら
2楽章はこちら
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