『虹色カナタ』 Image Story ep:01
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歌詞本文
虹を描いていた。
ただ、ひたすらにそうしていた。
そうすることで、あの日の『約束』が、いつも僕たちを繋いでいるような、そんな気がして。
だから、虹を描いていた。
それにしても、眩しいな。
夏がすぐそこまで来ているとはいえ、ジリジリと焼けつくような暑さはまだ早い気がする。
目をつむっても、手で顔を覆っても、手のひらを通り抜けた赤い光がまぶたの裏に浮かぶし、
カンバスにも太陽の光が当たって反射するので、とてもじゃないが見続けていられない。
「さすがに・・・無理か」
もうずいぶん長いこと虹の絵を描き続けているけど、未だに、あの日見た虹の色が出せない。
だから、もう一度、本当の虹を見たくて、いつもそれを待ちながら絵を描いているのだけど、
見上げる空は、これ以上ないくらいに晴れ渡っていて、雨が降る気配など、ほんの少しもない。
虹は、雨が降った後でなければ見られない。
そして、雨が降ったとしても、必ず見られるとも限らない。
そんなことは百も承知なのだけど。
そんなに出てきてくれないなら、こっちで作りますか。
僕は胸に下げていたペンダントを大事に取り出すと、太陽に向かってゆっくりかざした。
七色に光るその宝石は、眩しい光を吸い込んで、辺り一面に淡い虹色を作りだしてゆく。
僕は草の上に寝転ぶと、しばらくの間、その幻想的な光景をぼーっと眺めてから、
もう一度、そっと目をつむって、君のことを考える。
―――どうして??
君が旅立った頃は、そんなことばかり考えていたっけ。
あの頃の僕には、なにができたのだろう、とか。
どんなことを言えば、良かった?とか。
励ます?引きとめる?
でも、きっとそのどれもが違ったと思うし、言葉では、どうすることもできなかった気もする。
一緒に過ごした、あの長く楽しい時間でさえ、僕たちを繋ぎ止めておくには弱かったのだから。
少なくとも、あの頃は、そう思っていた。
なにも変わらず、そのままでもいいじゃないかと思った、つい口にも出して言ったこともあった。
だけど、いつからか君の目に、僕の姿だけじゃなく、色んなものが映っていることにも気づいていた。
僕を見ていても、それを通り越してその向こう側の、僕のものとは違う明日を見ていたんだろう。
どうして??
・・・なんて幼すぎる問いかけになんの意味もないことくらい、よく分かっているつもりだけど、
それでも、大人になった今でもやっぱり、そのことを考える時だけは、胸の奥がチクッとする。
この痛みは一生消えないのかもしれないけど、今ならそれも悪くないかなと思う。
僕たちが離れたのは、決して絆が弱かったからじゃなかった。
君のなかに強く強く叶えたい大切な願い事が生まれたからだと、今はそんなふうに思えているから。
ねえ、ルミネ。
君もまだ、見ているんだろう?
今よりもうんと、うんと、なにもかもが広く、大きく見えていたあの頃。
あの日、あの時に見た、空いっぱいに広がるパノラマの虹を―――。
作品紹介
コミックマーケット81、リリースタイトル
『虹色カナタ』(Daisy Rock)のイメージ・ストーリー
イラスト&デザイン:日下部ハルカ
製作:2011年
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