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名もない花

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この曲の歌詞

名もない花

その日テレビはどこのチャンネルも同じニュースを伝えた
待たれていた王様の世継ぎがとうとう生まれたらしい
この日のため用意されていた旗が一斉に振られる
まるで 風よ すべて同じ方向にだけ吹けとばかりに
昔はただの人だった王様の奥さんが手を振る
彼女はその手の振り幅も歩幅も決められているという
コンピューターはこの経済効果を迅速に見積もる
たぶんどんな服を着ても所詮王様は裸だ
同じ日にきっといくつも命が生まれて
それを本当に喜ぶ人が笑顔を浮かべた
同じ日にきっといくつも命が終わって
それを本当に悲しむ人の涙が流れた
名もない花も 名もない人も 本当はみな それぞれ名がある
知らなくていい人が知らない 当たり前だね それだけのことだ
あなたの笑顔やあなたの涙に 思わず心が揺れる人がいて
他に何か要るのですか

どこかの誰かが作った世の中を計る公式が
人を足したり引いたりしながら「余り」を弾き出す
粗雑に束ねられた者達は何かの札を貼られ
いつしか自分の名前では呼んでもらえなくなる
私はあなたをずっと名前で呼び続けることにしよう
識別番号やレッテルや社会での場所より先に
人気者の名前などひとつ残らず忘れ去っても
私はいつでもあなたの名前を呼ぶだろう
昔1日だけローマを遊んだ王女は
あれからどんな風に生きていったのだろうか
名もない花の花粉を虫や風が運んで
どこか名もない道の端に命がつながる
物言わぬ花 声なき人も 本当はみな 語り続けてる
己ばかりを大きな声でわめく人には聞こえないけれど
あなたの笑顔やあなたの涙を こうして見つめていてもいいのなら
他に何か要るのですか
名もない花も 名もない人も 本当はみな それぞれ名がある
あなたの他に あなたはいない 当たり前だね 探すまでもない
名前を呼ばれて 振り返ったとき そこに大切な人を見つけたら
他に何か要るのですか 他に何が要るのですか

クレジット ORIGINAL

作詞
斉藤信幸
作曲
斉藤信幸
編曲
斉藤信幸

作品紹介

卒業のこの時期、「社会に出る」という表現をよく目にしますが、考えてみると、人はいくつであろうと、他の人と関わりながら生きている、というより、そうしなければ生きられない存在なのであって、そういう意味では、生まれた瞬間から「社会」に出ています。
 この言葉は、「厳しさ」「一人前」などの言葉とセットで使われることが多い気がしますが、「仕事」「つきあい」といったものに、必要以上に重たい、神聖な意味合いを持たせようという意図が背後に隠れているように思えて、どうも好きになれません。
 何だか、新しい環境に入っていく者に向って、「お楽しみは終わりだ、これからは言われたことにとにかく従うのだ、「社会人」になるのだから、 お前が大切にしているそれを捨てなさい」と、穏便に迫っているみたいです。
 それに、「社会に出る」前の人間に、本来負うべき責任まで免除されているような錯覚を与えかねないし。
 というわけで、私はこの言葉は使わないことにしています。
 3月は、私のような仕事をしている者には、本当に感慨深い季節です。
 卒業していくみんなが、誰かの思惑で作り出されたような「価値感」にあまり惑わされず、本当の意味で「いい大人」になっていってくれればと切に願います。

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